「終末のフール」 伊坂幸太郎さん
2011年 02月 20日
物語の舞台は、仙台市北部の団地「ヒルズタウン」。これって間違いなく、俺の住んでいる泉パークタウンだよね。著者は仙台市在住らしいから、もしかしてご近所かも?俺が伊坂ワールドにはまってしまう理由は、ストーリーの面白さ以外にその身近さにある。伊坂さんの描くほとんどの物語が仙台で展開されているのだ。
人間は、「死」を身近に感ずることではじめて、自分の「生」の存在、そして自分にとって最も大切なモノに気付くものだ。また、「死」の到来は、何が大切なモノかがわからない人間をパニックに陥らせる。宇宙空間で音も無く高速で地球に接近する小惑星が、漠然とした「死」の連想と恐怖を人々に与え、心のどこかを狂わせ蝕んでいく。すんなり「死」を受け入れる準備ができる人たちは幸福だ。こんな状況で俺だったらどうしているだろう。きっと、無駄な抵抗とわかっていても、家族を助けるために何かをしているに違いない。それが俺の絶対的価値観だ。いや、俺は本当に正気でいられるのか?
いろんな意味で、考えさせられる小説であった。
それと蛇足だが、この小惑星の接近というシチュエーションは、後の名作「フィッシュストーリー」につながっていく。
以上、名古屋戦線異常無し。
by kaiseik
| 2011-02-20 20:43
| 読書道
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