「きことわ」 朝吹真理子さん
2011年 05月 15日
昨日に引き続きイイお天気の今日は、昼前に家を出て鶴舞公園のバラ園やバラ展をしばらく観て回った後、スタバで1時間くらい読書、朝吹真理子さんが書いた「きことわ」を読み終えた。第144回の芥川賞受賞作である。物語の舞台である葉山の夏の風景と、主人公の永遠子と貴子の心象風景が交差し、遠い過去と現実、そして夢の世界が入り混じる、一言で言うと夢の中で美しい風景を観ているような、それでいてちょっと切ない物語。子供の頃の記憶は、美しい思い出として人の心に残る。しかし、それから数十年と時を経て、その当時の幼馴染と出あい、美しい思い出が現実の記憶として引き戻された時の淡い喪失感と寂寥感。そんな日常誰にでも在り得る事象を、この若い作者は美しく幻想的なストーリーとして紡ぎ上げた。1984年生まれとは思えない、成熟さを感じる風景描写、文章、さすがである。ただ、シンプルに「面白いの?」と聞かれると、「うーん、殺人とか、大きな事件は起きないからね・・・(苦笑)」となってしまうのは、純文学だからしょうがないか。
以上、名古屋戦線異常無し。
以上、名古屋戦線異常無し。
by kaiseik
| 2011-05-15 23:02
| 読書道
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