「苦役列車」 西村賢太さん
2011年 05月 21日
「きことわ」(http://kaiseik.exblog.jp/13586101)とともに、第144回芥川賞を受賞した「私小説」である。「きことわ」のピュアな美しさとは正反対の、西村さんが実際に過ごしたどす黒い青春時代。そして、いまだにその延長線上から浮かび上がれていないことの諦観は、芥川賞受賞の達成感や名誉で反転できるものではないだろう。ただ、港湾の荷役会社で人足として働き続ける彼の人生が、この「苦役列車」のテーマほど「苦役」と実感できないのは、俺が全く違う世界を歩いているからなのだと思う。また、汚染されたドブ川の生態系を垣間見たいように、不謹慎ながら彼らを好奇の目で見つめてしまう自分がいる。
しかも、人生が苦役だと思えない俺は、たぶん幸せなのだろう。そんな事を感じながらも、世の中の底辺にへばりついている人間ほど、本能に素直に従って自由に生きているように感じる。そして、「生きるために働く」というシンプルな理由が、今の俺の口からは出てこないことに、一抹の寂しさと不安が湧いてくるのだ。
以上、名古屋戦線異常無し。
しかも、人生が苦役だと思えない俺は、たぶん幸せなのだろう。そんな事を感じながらも、世の中の底辺にへばりついている人間ほど、本能に素直に従って自由に生きているように感じる。そして、「生きるために働く」というシンプルな理由が、今の俺の口からは出てこないことに、一抹の寂しさと不安が湧いてくるのだ。
以上、名古屋戦線異常無し。
by kaiseik
| 2011-05-21 21:14
| 読書道
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