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「人生に意味はあるか」 諸富祥彦さん

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諸富祥彦さんが書いた「人生に意味はあるか」を読んでいる。とても危険な香りのするタイトルで、図書館でも手に取るのを一瞬ためらわれたが、意を決して借りてきた。
その内容はというと、警戒していたほど強い問い掛けはなく、我々が人生の意味を見出し、前を向いて生きていく上での伴走者になりうる「良書」だと感じた。この中では、数々の一般人の意見や、先人の哲学的、宗教的アプローチ等、「人生の意味」を求める人に向けた様々な考え方が紹介・解説されている。
そして、タイトルに対する答えは読者自身がそれぞれ考えるものとしているところが、一つの結論になっているようだ。
哲学的なアプローチの中で紹介されている「宇宙論的ニヒリズム」の理屈に納得しつつ、それでもどこかに救いを求める気持ちになるのは、俺がまだまだ達観できていない証であろう。
「宇宙論的ニヒリズム」では、「この宇宙は必ず滅び、人類も必ず滅びる。よって、我々のひとり一人の人生はなんら意味はない。」との絶望的真実が示される。
「人はそれぞれ根拠なく生まれ、意義なく死んでいく」というニヒリズムをどう捉えて生きていくかは、我々次第なのである。そして、ここで諸富さんは、「人生は無意味だ。だから、生きる。」という選択肢もある、と言っている。襲ってくる圧倒的な空虚の中で、大きな解放感を原動力に変える方法もあるのだと。この一種の「開き直り」は、宗教など人の作ったストーリーに頼らずに救われる、一番の方法なのかもしれない。


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俺は思う。「人生の意味」は、意味をなす対象と、意味のある時間の概念があわせて語られなければ、そのことを問うこと自体意味が無い。上述した宇宙論的で絶対的な真実をベースにしたときには、人類滅亡の期限までに、誰にとって、いつ、意味があるのか、という問いしかありえないということである。そして、「自分」にとって人生の意味があるとは、自分が「生きている間」しか意味を感じ得ない訳であり、自分の人生に意義があった、または、後世に何か大切なものが残せた、と「喜びを実感し、確信する」こと自体が、「人生の意味」なのであろう。
だから、「宇宙論的ニヒリズム」など「笑い飛ばして」、今を、この一瞬を、何かを信じて前向きに生きること、あわせて、他の誰かの人生と共鳴し合うことでお互いに喜びを実感することが、人がそれぞれ「人生の意味」を感じて生きられる、唯一の方法なのではないだろうか。
以上、東北戦線異状無し。

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by kaiseik | 2014-11-09 11:37 | 読書道 | Trackback | Comments(0)

北海道戦線異状無し・・・メーデーメーデーっ


by kaiseik
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