晩秋の光につつまれて
2008年 11月 06日
御代田町では、役場のすぐ近くに「メルシャン軽井沢美術館」があり、そこに入ってみた。ウィスキー蒸留所やショップ、レストランなどと一緒になった、割とこじんまりした美術館では、「ル・コルビュジエ 光の遺産」というテーマで、20世紀の有名な建築家「ル・コルビュジエ」の建築物や絵画、彫刻、タピストリなどを展示していた。
ル・コルビュジエ氏は、その作品である建造物が、フランス政府から一括してユネスコ世界遺産に登録申請されるような、20世紀を代表する建築界の巨匠である。スイスで生れたがパリに移り、20代前半にドイツ、ギリシャ、イタリアなどを遊学、様々な建築物を実際に見て学んだ。「光への旅」と題して、その時のスケッチが展示されていたが、かなり詳細にわたって有名建築物を写し取っている。「彼は太陽の下で、単純な幾何学的形態、比例が生み出す美しさを見出した。」という解説の通り、彼は24時間の太陽の動きをもとにその光の効果を考え、「光の造形」に取り組んだおそらく最初の人物なのだ。彼の作品は、一見、幾何学的かつシンプルな外観に対して、その建物内部への積極的な光の導きにより、季節の移ろいや時の流れを巧みに表現しており、その発想は斬新、素晴らしいの一言に尽きる。「ロンシャン礼拝堂」や「ラ・トゥーレットの修道院」、「フィルミニの教会堂」など、自然の光が織り成す芸術は「遺産」と呼ぶにふさわしい。
彼はまた、様々な絵画も残している。特に「直線の詩」という詩画集は完成度が高く、とても素敵だ。その作品群は、一見「キュービズム」的抽象画に見えるが、実は全く違う。シンプルにデフォルメされたモチーフからは、キュービズムで感じるような毒々しさや狂気、社会風刺、批判精神などは微塵も感じられない。むしろ精神的なバランスの良さや、人間への愛情、自然への賛歌が感じられ、とても安心感があり、好ましくも感じた。彼の提唱していた「ピュリスム(純粋主義)」がどういうものなのか理解できたような気がする。
その後、軽井沢に移動、役所を訪問した後、また寄り道した。一度観てみたかった「石の教会」(http://www.stonechurch.jp/)。ここは内村鑑三の記念館にもなっている。結婚式の下見に一組のカップルが説明を受けていたが、こんなところで俺も結婚式をやってみたかった。自然と一体となったような教会の中にいると、石壁をはう植物や静かに流れる水が心の澱を濾しとってくれるようだ。少しずつ心が澄んでくる。それに、この教会のテーマでもあり、内村鑑三が提唱した「無教会」という思想は、自由な信仰の姿をイメージさせて、とても清清しさを感じる。それと・・・忘れてならないのは、実はここは当社のお客様でもある。教会内に備え付けられた結婚式撮影用のカメラをちゃんと確認したのはもちろん。ただ、そんな素敵な教会内部は、残念ながら撮影禁止とのことだった。
その後、秋の宝石を探しに雲場池にも立ち寄ってみた。既に紅葉のピークは過ぎつつあったが、いまだ彩りは鮮やか。しばし時間を忘れ湖面を見つめた。
以上、長野戦線異常無し。
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aonokai2 at 2008-11-08 19:02
紅葉がうつくしいですね~。
近畿地方はまだまだ紅葉には程遠いです。
でも今日は一気に寒くなりましたからこれからが期待できそうです。
近畿地方はまだまだ紅葉には程遠いです。
でも今日は一気に寒くなりましたからこれからが期待できそうです。
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by kaiseik
| 2008-11-06 06:12
| アート
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Comments(1)