見渡せば、感動はいたるところに sanpo

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土曜日に茨城の実家に帰り一泊、そして日曜日は昼頃実家を出て上野の美術館をはしごしてきた。最初に入ったのは東京都美術館の「生活と芸術―アーツ&クラフツ展」。「アーツ&クラフツ」は19世紀後半にイギリスで興ったデザイン運動のこと。革新的デザインと伝統工芸の統合により、実用的でありながら美しく、心を癒してくれる建築物、調度品や日用品に囲まれることで、人は日常生活の中にも潤いを見出す。工業化社会の急速な進展の反動としての豊かな人間性、自然を求める心の再発、グローバル化の進展にともなって現れる健全なナショナリズムの台頭は、単なるアンチテーゼではなく、新しい芸術的な試みとして昇華してきた。懐かしくもあり、まったく新しくもある、この一見矛盾する作風が、人の心をつかんで離さない秘訣なのだと気づかされた。それと、普段自分の身近なところにある家具や文房具だって、ほとんどがプロのデザイナーによって形作られたものであり、あらためて見つめ直してみると、いたるところに彼らが作品にこめた美しさや新鮮さが潜んでいると気づいた。
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その後、同美術館でたまたま同時開催されていた「春季 二科展」を観た。たくさんの素晴らしい作品があったが、その中でも俺の最もすきな作品は、山口真珠さんという方の描いた「春うらら」。朦朧とした春霞の中での幻想的な和の雰囲気。とても春の神秘性を感じるところあり、いつかこの画家の個展に行きたいと思った。
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都美術館を出た後、美の探究に飽き足らず国立西洋美術館の「ルーブル美術館展」へ。休日だけあって大変な混雑で、フェルメール「レースを編む女」や、レンブラント、ルーベンスなど、すぐ間近で筆づかいを観たかった有名作品の前は黒山の人だかり。皆が凝視し立ち止まったまま行列が幾重にも重なり、まったく近づけなかったのはとても残念だが、多くの宮廷画家の絵画の中でも、愛らしい姿で俺の心をつかんで離さない「王女マルガリータ」(ベラスケス)との数ヶ月ぶりの再会に喜び、またラ・トゥールの「大工ヨセフ」を観て久々に全身が感動で震えた。ヨセフは、マリアの夫でありイエス・キリストの「養父」、別名「聖人ヨセフ」と呼ばれているが、この絵からはそのような神々しい姿はみじんも感じられず、ただあるのは市井に汗して生きる父ヨセフと子イエスの間の師弟愛にも似た父子愛の強い絆。さらには、幼いイエスが持つ蝋燭の灯りが、かざした薄い手指から透けているところなど、なにげない日常のディテールをよく観察したリアリティの極みが、暗示めいた宗教画の世界を一瞬忘れさせてくれる。もちろん、ミュージアムショップでこの作品の複製画を買い求めたのは言うもでもない。5,000円也、さて、部屋のどこに飾ろうか。
以上、東京戦線以上無し。
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Commented by korokoro0195 at 2009-03-17 08:31 x
これからの花の季節、上野の森はますます賑わうことでしょうね。

春だから家の中に篭っていた人たちもあちこちへ出かけ始め、
(ああ、春は始まりの季節なんだ。
わたしもそろそろ始めなければ)。
そんなことを考えてしまいます。

最近、京都の「国際漫画博物館」(烏丸御池)へ行ってきました。
中庭で日向ぼっこをする家族連れ、
似顔絵を描いてもらう若者、
絵本コーナーでパパやママに絵本を読んでもらう子どもたち、
etc.幸せな気持ちになれる空間でした。
Commented by kaiseik at 2009-03-17 22:55
コメントありがとうございます。京都ですか・・・春の京都も美しいのでしょうね。それと、春の上野は賑わい過ぎて、心休まりませんよ。
Commented by korokoro0195 at 2009-03-18 08:36 x
ごもっとも。
一番最近は12月に行ったので想像付きませんでした、
by kaiseik | 2009-03-16 23:02 | 美術道 | Trackback | Comments(3)

北海道戦線異状無し・・・メーデーメーデーっ


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